●遺品整理と法律


◆相続放棄の費用


相続放棄の手続きに必要な費用は次のとおりです。

・自分で手続きをする場合

申述人1人あたり収入印紙800円分
連絡用の郵便切手(家庭裁判所で確認)

・司法書士や弁護士に依頼する場合

報酬の額は弁護士で10~20万円程度、司法書士で3~5万円程度です。


◆相続放棄の注意点

相続を放棄することで、個人の負の財産から免れることはきますが、以下のような注意点も覚えておいてください。

・生前中に相続放棄をすることはできない
家族が多額の借金を抱えていたり相続でトラブルが予想されたりする場合は、前もって相続放棄をしたいという希望もあるでしょうが生前中に相続放棄をすることはできません。

例え、相続を放棄する内容の契約書や念書などを作成していたとしても、法的な効力はありません。

・相続放棄は原則として撤回できない
家庭裁判所に相続放棄を申し出て認められると、たとえ3か月の熟慮期間内であっても撤回することはできません。
家庭裁判所に認可められる前であれば相続放棄の申し出を取り下げることができます。

・思わぬ人が相続人になる場合がある
故人が多額の負債を抱えていて配偶者と子が相続人である場合、配偶者と子が相続放棄をするだけでは十分とはいえません。
相続放棄をすると次の順位の人に相続権が移転し、思わぬ人が借金を引き継ぐことになってしまいます。

配偶者と子が相続放棄をすると、相続権は第2順位の相続人、つまり故人の両親(祖父母)に移ります。
故人の両親(祖父母)がすでに死亡した場合は、第3順位の相続人である故人の兄弟姉妹に相続権が移転します。

相続人が相続放棄をすると、遺産を相続する権利と同時に借金の返済義務も移転することになります。
故人の兄弟姉妹が新たに相続人になる場合は内容通知などの配慮が必要です。

・先に遺産を処分すれば相続放棄はできない
家庭裁判所に相続放棄を申し出る前に、遺産となっている預貯金を使ったり不動産の名義変更をしたりなど遺産を処分した者は相続放棄ができません。

相続があった場合、相続人は単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかの方法を選択することになります。

単純承認 故人の遺産・債務のすべてを引き継ぐ
限定承認 故人から引き継いだ遺産の範囲内で債務を返済する
相続放棄 故人の遺産、債務は一切引き継がない

相続があったことを知りながら遺産を使うことは遺産を自分のものにしようとする意図があるため、法的には単純承認をしたことになります。
その後に相続放棄をすることはできません。

・相続人が不在になる場合がある
先の順位の相続人の相続放棄で新たに相続人になった人も含めて相続人の全員が相続放棄をすると、相続人が誰もいない相続人不存在の状態になります。

相続人がいなければ、遺産は最終的に国に納められます。

ただし、債権者がいる場合 には債権者に分配されます。

債権者への分配や国への収納は家庭裁判所に選任された相続財産管理人が行います。相続財産管理人の選任手続きは、債権者など利害関係者が行います。

・相続放棄した人の子は代襲相続できない
遺産を相続するはずの人が先に死亡した場合や相続権を失った場合は、代襲相続としてその人の子が代わりに遺産を相続することになります。

ただし、相続放棄した人は最初から相続人でなかったことになるため、その人の子が代襲相続することはできません。


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