●遺品整理と法律

遺品整理や生前整理では、財産的価値のあるものが見つかることもよくあります。
このようなものは遺産として相続の権利者が引き継ぐことが通常です。
しかし、必ずしも引き継ぐ必要もないのです。

相続できるものをもらわないでは損なのでは?
と、思うかもしれませんが、必ずしも得になるとは限りません。


◆遺産の種類

遺産を大きく分けると、正の財産と負の財産に分けることができます。
正の財産とは、現金や有価証券などのことで、負の財産とは、いわゆる借金のことです。

遺産を相続するということは、正・負の両方を引き継ぐことです。
負の財産は相続しないといったような虫のいい話は通用しません。

また、ご自分の意思で遺産は不要という方もおられます。
このような意思を相続放棄と呼び、相続人から除外されます。

相続を放棄する場合は、勝手に意思表示をしても通用しません。


●相続放棄の手続きの方法
相続放棄の手続きにはさまざまな書類が必要です。
被相続人と相続放棄をする人の続柄によって必要となる書類が異なります。


・相続放棄申述書
相続放棄を申し出るには、相続放棄申述書に本籍、住所、氏名、相続放棄の理由など必要事項を記載して提出します。
これは被相続人との続柄等は関係なく誰でも必要な書類です。

相続放棄申述書の書式は家庭裁判所に置かれているほか、裁判所のホームページからもダウンロードできます。

裁判所|相続の放棄の申述書(20歳以上)
裁判所|相続の放棄の申述書(20歳未満)

20歳未満の未成年者が相続放棄を申し出る場合は、親など法定代理人が手続きをします。
相続放棄をする未成年者と法定代理人が同じ相続の当事者であって利害が食い違う場合は、特別代理人を定める必要があります。

・戸籍関係書類
相続放棄申述書には、戸籍謄本など被相続人と相続放棄をする人の関係を示す書類の添付が必要です。
必要な添付書類は被相続人と相続放棄をする人の続柄によって以下のとおりです。

相続を放棄する方 必要書類
被相続人の配偶者 被相続人の住民票除票または戸籍附票
相続放棄する人の戸籍謄本
被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
被相続人の子
またはその代襲者(孫、ひ孫など)
被相続人の住民票除票または戸籍附票
相続放棄する人の戸籍謄本
被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
代襲者が相続放棄する場合は、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍謄本
被相続人の父母・祖父母など(直系尊属) 被相続人の住民票除票または戸籍附票
相続放棄する人の戸籍謄本
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本
相続人より下の代の直系尊属で死亡している人の死亡の記載のある戸籍謄本
被相続人の兄弟姉妹
またはその代襲者(おい、めいなど)
被相続人の住民票除票または戸籍附票
相続放棄する人の戸籍謄本
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本
被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本
代襲者が相続放棄する場合は、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍謄本

相続放棄をする場合、財産の内容を証明する書類が必要だと思われるかもしれませんが、証明する書類の必要ありません。

相続放棄申述書におおまかな財産金額を書けばよく、財産一覧や証拠書類などを提出する必要はありません。

 

 

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